企画展示「大ニセモノ博覧会 ― 贋造と模倣の文化史 ― 」が国立歴史民俗博物館で開催されている。開催期間は2015年5月6日まで。


「大ニセモノ博覧会」では、ジュラ紀から現代までの約300点に及ぶ「ニセモノ」と「ホンモノ」を展示。それらが各時代・地域の人々の暮らしの中で、どのような役割を果たしてきたのかを紹介する。


博覧会では、縄文時代の人々がすでにニセモノ(代用品)を愛用していたことを紹介。山間部の人々が、入手が困難な「貝で作られた白い腕輪」の代わりに身に付けていた、粘土や石で作られたイミテーションの腕輪を展示する。これにより、縄文時代の人が、高価なダイヤモンドの代わりに模造ダイヤを身に付ける、現代人と変わらない感覚をすでに持っていたことを学ぶ。

縄文時代の“ニセモノ”アクセサリー「貝輪型土製品」  多数の貝輪を着装した様子を模している
縄文時代の“ニセモノ”アクセサリー「貝輪型土製品」
多数の貝輪を着装した様子を模している

ニセモノは、器の世界にも多く存在する。展示では天目茶碗「建盞」と、その模倣品である瀬戸焼の「黒釉の天目茶碗」を紹介。天目茶碗が鎌倉武士たちの垂涎の的だったことを紹介する。当時東国では、「黒釉の天目茶碗」を模倣した「ニセモノのニセモノ」と呼べる茶碗まで登場したそうだ。


展示の目玉の1つとなるのが、江戸時代から明治にかけて日本から欧米に輸出されていた「人魚のミイラ」。これを当時の技術で再現して展示するだけでなく、なぜミイラの製造が流行ったのか、その背景や謎を解き明かしていく。また、ペリーの航海日誌に記された人魚の記述と、ミイラの製作法も紹介する。

人魚のミイラ
人魚のミイラ

「ニセモノ」の数々を紹介する一方で、さまざまな分野を横断する企画展示の準備の過程で新発見された、織田信長が東大寺へ宛てた「ホンモノ」の文書も初公開される。


なお、企画展示の中では、女優・歌手の柴咲コウさんの声を元に制作されたボーカロイドキャラクター「ギャラ子」が見どころコーナーの音声ガイドをする。利用には、スマートフォンとイヤホンが必要。


国立歴史民俗博物館の開館時間や休館日、および「大ニセモノ博覧会」の開催期間や料金などについて詳細は、国立歴史民俗博物館の企画展示に関する Web サイトを参照されたい。