筆者は西東京エリアに住んでおり、家の周りには畑や空き地が点々と広がっている。良い感じにのどかなのだが、冬ともなるととにかく冷えるので最近の関心事はもっぱら暖房器具だ。
これまではエアコンや湯たんぽで乗り切ってきたが、不便もある。そんな中デロンギ社の“第3のヒーター”こと「マルチダイナミックヒーター」を試す機会を頂いたのでじっくり検証してみたい。
◆第3世代ヒーターって?
今回使用したモデルは、昨年発売された「MDH15-BK」(約10~13畳向け)。サイズはL49.5×W27.5×H66.5cm、重さは12.5kg。コンパクトでスタイリッシュなデザインは、和室から今どきのインテリアまで幅広くなじみやすい。
見た目はオイルヒーターと似ているが、その仕組みは全く異なる。同製品は複数のヒーターの熱を効率良く取り出す独自構造により、輻射熱(遠赤外線の熱線によって直接伝わる熱)と自然対流で室内を穏やかに暖めるのが特徴。また室温と設定温度との差を計測して±0.5度レベルで自動調整する「Auto Adaptive Technology(AAT)」を搭載しており、必要最低限の消費電力量で長時間にわたって適温を保てるそうだ。同社によると、この繊細な調整こそが“第3世代”たる所以とのこと。
◆体感してみる
理屈で考えるより動かしたほうが早そうなので稼働させてみる。操作は付属のリモコンで行い、本体パネルには現在の運転状況が表示される。
スイッチを入れると、上部の通気口から柔らかい温風が出てくる。
この時点で驚いたのが動作音。電源を入れた時の「ピー」という電子音以外は、ほぼ無音なのだ(同社によると、人の呼吸よりも小さいレベルだそう)。
部屋の暖まり方にも特徴がある。一般的なエアコンやヒーターは風が当たるところや器具の周りだけが温まり、部屋の反対側に移動すると寒いままのことがある。だがこのヒーターは部屋のどこにいても同じ暖かさに包まれ、まるで季節が変わったような印象を受ける。
さらに一度室温が上がるとそのまま一定に保たれ、長時間稼働し続けても部屋の湿度がほぼ変わらない。うっかりうたた寝しても乾燥で喉が痛くなるようなことはなかった。
◆プログラムモードが便利!
暖房メニューには、部屋を急速に暖める「AUTO」モード、電気代を20%節約できる「ECO」モード、温度や強さを詳細に設定できるモードなどが用意されている。
中でも便利に感じたのは1週間分の暖房プログラムを詳細に設定できる「プログラムモード」。例えば平日の起床時と帰宅から就寝までの間は高めの設定温度、それ以外は低めの設定温度で運転するなど自分の生活に合わせてスケジュールを組み立てられる。
朝起きるのが苦手な筆者は、平日の起床時間の数時間前から稼働させて部屋を暖めている。作動時に音がしないため眠りを妨げられることもなく、スムーズにふとんから出られるようになった。それ以外は室温が5度以下になった場合に作動するモードにしているため、東京によほどの寒波が来ない限りオフの状態になっている。
◆室温の上がり方はゆるやか
1点気になったのは暖まるスピード。期待していたほど急速に部屋が暖まらなかったので、厚手のカーテンを使用したり、帰宅時に暖めておきたいなら予め設定したりしても良いだろう。ちなみに転倒時の回路自動遮断や異常温度過昇防止装置、チャイルドロックなどの安全対策も施されているが、ヒーターの周囲に燃えやすいものがないかは常に確認しておこう。
(※スピードは住環境によって異なる)
また、プラグが定格15A100Vなので、一般家庭のコンセントなら1か所ヒーターで埋まってしまうのも難点。これについては今年900Wモデルの「MDH09」(約6畳~8畳)が発売されており、部屋の広さによってはこちらをオススメしたい。
◆どんな家に向いてる?
最もメリットを感じたのは静かさと乾燥しにくい点。温風が直接当たる心配がなくほこりを舞い上げることもないので、体調を崩しやすい子どもや年配の方がいる家庭にも向いているだろう。また、部屋を均一に暖めるという点では大勢の人が集まるリビングで活躍しそうだ。
なお希望小売価格(税別)はMDH15が10万円、MDH09が7万5,000円。筆者は快適過ぎて既に手放せなくなっているので、冬のボーナスと相談かな…。