針を使わないステープラーはとても便利。一度使い始めると、手放せなくなります。「シュレッダーにかけるときに、針を外さなくて済む」というメリットはよく言われてますが、ステープラーの針が要らないこと自体がとても大きなメリット。例えば会議開始直前に一般的なステープラー(ホチキス)で資料を綴じているとき、針切れが起こると目も当てられません。でも針なしステープラーには「針切れ」の心配がないのです。

その針なしステープラー、100均でも販売されているのをご存知でしょうか?文房具屋でメーカー製品を購入すれば550~1,000円程度はする製品が108円で買えてしまうのです。夢のようですよね?


今回はこの100均のステープラーの実力をチェックしてみます。オフィスで日常業務に使うことはできるでしょうか?もしそうだとしたら、浮いたお金(900円くらい?)で、ちょっとした贅沢などしてしまえるのでしょうか?コクヨさんから販売されているハリナックスとの比較で検証します。

コクヨ「ハリナックス」(画面左)vs. 100均針なしステープラー(画面右)  いざ!対決!
コクヨ「ハリナックス」(画面左)vs. 100均針なしステープラー(画面右)
いざ!対決!

■まずはルックスをチェック! ―  うさぎ vs. マッコウクジラ
100均版針なしステープラーの長さは約8センチと小型。筆者が日常的に利用しているハリナックス(8枚綴じ可能版)の全長13.5センチの6割程度といったところでしょうか。でも幅は3.5センチと、ハリナックスよりも約0.5センチほど“太め”になっています。

100均版針なしステープラーの長さは約8センチ  デスクの引き出しに入れておいても、邪魔になりません
100均版針なしステープラーの長さは約8センチ
デスクの引き出しに入れておいても、邪魔になりません

正面から見ると、100均版はハリナックスよりちょっと太めであることが分かります
正面から見ると、100均版はハリナックスよりちょっと太めであることが分かります

両者の最大の違いは、レバ―の長さでしょう。100均版のレバ―の長さは、コクヨ版のほぼ半分。このため100均版は、うさぎのようなルックスになっています。

100均版のレバ―の長さは、コクヨ版のほぼ半分
100均版のレバ―の長さは、コクヨ版のほぼ半分

目を付ければ、うさぎのようなルックスです
目を付ければ、うさぎのようなルックスです

ハリナックスのレバ―は長いだけでなく、裏面を金属でしっかり補強。長さが2倍であることと相まって、紙8枚を綴じられるパワーを発揮できます。


口元は引きしまっていて、ちょっとマッコウクジラ?

口元キリリ  マッコウクジラっぽいルックスです
口元キリリ
マッコウクジラっぽいルックスです

参考画像:マッコウクジラ
参考画像:マッコウクジラ

■4枚の紙を綴じてみた ― 一つ目小僧 vs. おさわり探偵 なめこ
続いて最も重要な紙綴じ機能を比較。まずは100均版で、4枚の紙を綴じてみました。針なしステープラーでは、紙に切れ込みを作り、そこに紙を切って作った“舌片”を挿しこんで綴じます。

紙に切れ込みを作り、に“舌片”を挿して綴じます
紙に切れ込みを作り、に“舌片”を挿して綴じます

100均版ステープラーの舌片と切れ込みは、とてもシンプルな形状。切れ込みから飛び出した舌片は、まるで一つ目小僧のベロのようです。この形状だと切れ込みから舌片が簡単に抜けて、書類がばらばらになりそうな予感が…。

参考画像:一つ目小僧  よ~く見ると、上の画像と似てなくも、ないです
参考画像:一つ目小僧
よ~く見ると、上の画像と似てなくも、ないです

一方、コクヨ版の舌片と切れ込みは、どちらも複雑な形状をしています。舌片の形状は、ちょっとキノコのよう。そして、複雑な形状の切れ込みに挿しこまれた舌片は、一時期女子高生に人気のあった「おさわり探偵 なめこ」のようです。なめこ(?)のかさの部分が切り込みにがっちり引っ掛かり、引っ張っても抜けにくい安定した紙綴じを実現していることが、これを見るとよくわかります。

おお、なめこ!
おお、なめこ!

■綴じた紙を振ってみた ― なめこが粘って一つ目小僧に圧勝!
綴じ強度をチェックします。一つ目小僧とおさわり探偵 なめこ…ではなく、100均版針なしステープラーとコクヨ版で綴じた紙のうち、一枚だけをつまみ、軽く振ってみました。まずは100均版で綴じた書類を振ってみます。

100均版針なしステープラーは、すぐにバラバラになりました
100均版針なしステープラーは、すぐにバラバラになりました

結果は予想通り、100均は舌片が切り込みから簡単に抜けてしまい、ばらばらになってしまいした。

一方、ハリナックスは簡単には舌片が抜けない構造のおかげか粘ります。振りまわしても簡単には外れませんでした。

さすが、コクヨさん!
さすが、コクヨさん!

ここで値段の差がはっきり出た気がします。さすが、コクヨさん!

…とはいうものの、会議中に綴じた書類を振りまわす人の数は、それほど多くはないでしょう。100均のステープラーが業務でまったく使えないとは言いきれません。また、会議中だけ使用し、終了後は捨ててしまうような“ワンタイムドキュメント”を綴じる目的であれば、100均のステープラーでも十分機能すると考えられます。

■追加テスト ― 本当は何枚まで綴じられるの?
パッケージを見ると、100均版は最大4枚まで、コクヨ版は最大8枚までの紙を綴じられると書かれています。でもこういう仕様って、たいていは少しさばを読んでいるものですよね?本当はもうちょっといけるのではないでしょうか?

最後に両者の限界テストをしてみましょう。まずは100均版で5枚綴じに挑戦してみました。結果はちょっと悲惨なことに。レバ―を押し下げた後、紙が抜けなくなってしまったのです。

針なしステープラー、釣れました…
針なしステープラー、釣れました…

思い切り引っ張っれば抜くのは簡単ですが、紙は破れてしまいます。大事な書類だったらアウトですし、重要性低めの社内文書であっても、これを受け取った人は気分が良くないでしょう。100均版では「4枚」までという制限は厳守のようです。

あ~あ…。
あ~あ…。

ではハリナックスは?というと、9枚でも楽に綴じられました。ところが10枚にチャレンジしたところ、マッコウクジラの口が紙をくわえるのを拒み、綴じられないという結果に。マッコウクジラライクなルックスは、無茶する人がでてこないよう考えられたデザインだったみたいです。

マッコウクジラ的デザインには意味があったのですね
マッコウクジラ的デザインには意味があったのですね

■100均のステープラーは買うべき? ― 「ピンチヒッター、うさぎ!」
100均の針なしステープラーをオフィスで常用できるか?と聞かれれば、答えはNoでしょう。レバ―が短くて梃子の原理を使えないので、何度も紙綴じを繰り返していると指が痛くなってしまうというデメリットがあります。大量の書類を綴じていると、「レバーが折れてしまうのでは?」という不安も頭をよぎり、落ち着きません。

結構、力がいります  それに、力を入れると、レバ―が折れそう
結構、力がいります
それに、力を入れると、レバ―が折れそう

レバーが長いので、小指でも8枚綴じOK!  レバー自体もしっかりしています
レバーが長いので、小指でも8枚綴じOK!
レバー自体もしっかりしています

でも一般的なステープラーで書類を綴じようとして針切れを起こしたとき、そしていまから針を買いにいっても会議には間に合わないというとき。書類枚数が4枚以下であれば100均の針なしステープラーは十分使えます。オフィスに一台あればちょっとだけ安心。そんな“ピンチヒッター”としての人生(?)が、100均の針なしステープラーにはぴったりではないでしょうか?

ピンチヒッター、うさぎ…ではなく100均!  背番号108円
ピンチヒッター、うさぎ…ではなく100均!
背番号108円

針なしステープラーは、全国のダイソーの店舗で販売されていたり、いなかったり。でも価格はもちろん108円です。