David Teieさんは、米国ワシントンDC在住のミュージシャン(チェリスト)。ネコのための楽曲の制作と、その楽曲を収録したCDを制作するプロジェクト「Music for Cats」に取り組んでいる。

ネコのミュージックライフを豊かにするプロジェクト「Music for Cats」
ネコのミュージックライフを豊かにするプロジェクト「Music for Cats」

ネコが人と一緒に暮らし始めたのは約9,500年前と言われる(諸説あり)。現在ではネコの食器やトイレ、それにおもちゃなど住環境は大きな進化を遂げ、ネコはより快適な暮らしを送れるようになった。だが音楽はどうだろう?ネコはいまでも、人間向けの、ネコにとっては快適とは言えない音楽を聴かされ続けているのではないだろうか?


その曲、やめて欲しいニャ
その曲、やめて欲しいニャ

Teieさんが目指しているのは、ネコにとって快適と感じられる楽曲の制作。Teieさんによれば、ネコは鳥のさえずりや、ミルクを吸う音などを聴くことで音感を身につけているという。Teieさんはこれらの音を取り入れつつ、ネコがコミュニケーションで使用する周波数範囲の音を使って作曲している。楽曲には例えばハープを非常に速く弾く箇所があるが、その速さはネコがのどをゴロゴロと鳴らす速さと同じだそうだ。

ゴロゴロ聞こえるにゃ!  気持ち良いニャ
ゴロゴロ聞こえるにゃ!
気持ち良いニャ

Applied Animal Behaviour Scienceに最近公開された論文によれば、このようにして作曲されたTeieさんの楽曲をネコに聞かせたところ、調査対象となったネコのうち77%から肯定的な反応を得たそうだ。

何か聞こえるニャ
何か聞こえるニャ

気持ち良くなってきたニャ
気持ち良くなってきたニャ

にゃにゃーだニャ……。
にゃにゃーだニャ……。

ネコのための音楽は、次の動画で一部試聴できる。ネコを飼っている方、試してみてはいかがだろうか?


ネコのための音楽、作曲します

ちなみに筆者はネコではなく人間だが、楽曲中の「ゴロゴロ」という音は、耳に心地よく響いた。

人間も試してみて欲しいニャ
人間も試してみて欲しいニャ

Teieさんは現在、ネコのための音楽が約40分収録されたCDの作成に向け、クラウドファンディングサイトkickstarterで出資者を募集中。25ドル出資することで、完成したCDを1枚入手可能だ。発送時期は2016年2月を予定。なお、15ドルの出資で音楽ファイルのダウンロード権利を入手することもできる。

日本からなら、ダウンロードが便利かもだニャ
日本からなら、ダウンロードが便利かもだニャ

ところで、日本やドイツとは異なり、米国ではCD販売や音楽ファイルのダウンロードサービスは時代遅れのものとなりつつある。このような状況下で、TeieさんはなぜCDの作成を思い立ったのだろうか?

Teieさんによれば、米国では多くのミュージシャンは楽曲の販売から収入を得ることを諦め、各地でライブを実施してチケット販売で収入を得ているという。だが、ネコを対象とした場合、ライブで収入を得ることは困難だ。もしネコが飼い主にライブ会場に連れて来られたとしても、数百匹のネコが一堂に会した場合何が起こるか想像もつかない。だがCDであれば、飼い主が部屋の中でネコと一緒に聞くことができる。このため現在では古いと言われている楽曲の販売方法であるCDを選択したと、Teieさんは説明している。

音楽は、お部屋で聞くのニャ
音楽は、お部屋で聞くのニャ